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人の上に人を造らず、人の下に人を造らず

慶応大学創設者 福沢 諭吉
(童門冬二著「福沢諭吉」参照)
1.人間平等への大逆転の思想

 「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」の名言を生んだ福沢諭吉の人間平等に精神が、封建社会の続いていた明治時代に唱えられたのは、凄いと言うほかはないでしょう。 徳川幕府の軍艦・咸臨丸に乗ってアメリカに渡り、豊かな庶民生活を見聞きした以上に、社会事情や精神風土に驚いたのです。 世襲制の封建主義の色濃く残っていた日本風土と異なり、実力主義の自由な社会を垣間見てきた諭吉の心に、残ったのは人間平等の社会や自由思想に驚きを感じたのです。

2.独立自尊

 ここでちょっと、我が家にある「独立自尊」の額について記してみたいのです。
 一人の人間としての独立心と自尊心を持ち、相手にかまわず自信と、信念を持つことの大事さ。このことを学び取ってアメリカから帰国した諭吉です。 「わが国氏族以上の人、数千百年の旧習に慣れて、衣食の何物たるかを知らず、富有の由って来る所を弁ぜず、傲然自ら無為に食して、これを天然の権義と思い...」と学問のすすめ第10編で述べています。 そして「各人自ら、仕事をして衣食を満たすべし」と強調しているのです。 自ら働き、自ら生活するための手段を、正しく持つことを説いたのです。 独立自尊とはこうした意義ある言葉だと思うのです 。「働かざる者、食うべからず」の教えです。

3.我が子への教え

 武士社会の色濃く残っていた明治初期です。 自ら働かずに衣食を満たす世の中に疑問を持ち、武士階級の特権、旧習の排除を力説しているのです。 人間働かずして食べるのは平等でない、「各人自ら、仕事をして衣食満たすべし」と言っています。 そのことがら「独立自尊」の意識の定着させ「社会の発展のために人間すべからく善を行なえと言うのです」
 諭吉は我が子に「人の道理をわきまえて、みだりに目の前の欲にまよわず、文字を書き、文字を読み、広く世界中の有様を知り、昔の世と今の世と、変わりたる模様をがてんし、人間の付き合いを睦まじくし、人の心に恥ずることなきようにすることなり」と教えているのです。 幼い子への道徳心について、諭吉らしい教育者としての訓話です。

4.男女同権の思想

 旧来からの道徳的な思想「忠孝」の上下の人間関係を排除しています。 「男女同権」と言う横の人間関係、人間の社会的関係について新しい視点で、述べているのが、「修身要領」です。 合理的な考えを早くから持ち、「天は人の上に人をつくらず」との思想で人間平等の思想を持ち込んだ福沢諭吉の功績は大だったのです。 男女平等の思想は、第二次世界大戦後の選挙権の獲得、アメリカの施政権によってもたらせたものです。 民主国家日本の成立に70年も速く唱えた諭吉の思想の偉大さを、改めて思いを馳せたいと思うのです。

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